フェデラーの強さの秘密

 皆さんの中でテニス好きの方は先週のテニスのウィンブルドン大会を熱心にテレビで観戦していたと思う。今年は女子シングルスではロシアの人気選手シャラポアの二連覇が期待されたが準決勝でアメリカのビーナス・ウィリアムスに破れ、結局そのビーナスが決勝でも勝ち、久々にウィンブルドン女王に返り咲いた。
 そして男子シングルスではあのスイスのロジャー・フェデラーが無敵の強さを見せ、決勝ではあの時速240km/h以上の高速サーブを誇るアメリカのアンディ・ロディックをセットカウント3-0のストレートで完膚無きまでに叩きつぶし、見事大会三連覇を飾った。

 このフェデラーはサーブ良し、グラウンドストローク良し、ネットプレー良しのオールラウンドプレーヤーであり、そういう意味では同タイプとされるあのウィンブルドン4連覇を誇るアメリカのピート・サンプラスの再来と言われている。しかし、私の見た感じではフェデラーの方がグラウンドストローク力はサンプラスより上であり、そういう意味では史上最強と言われたサンプラスより実力は上ということになり、そうなるとこのフェデラーこそ史上最強のテニスプレーヤーということになると思う。
 しかも、彼はまだ若干23歳であり、年齢的にはこれからが全盛期ということになり、本当に末恐ろしいプレーヤーである。

 私は彼の一番の強みはどこにあるかと言えばそれは力みが抜けているということに尽きると思う。テニスでは何が一番大事であるかと言えば、これはテニスに限らないかも知れないが上体の力が抜けているということである。フェデラーはこれがほぼ完璧に出来ている。
 対するにウィンブルドンの決勝の相手であったロディックはそれが十分に出来ておらず、その差が試合結果に出たと思う。

 日本の合気道で言われている事だが、ものごとにはそれ本来の力がそのままに流れており、その力を利用すれば、自分で力まなくても効果的な打撃又はその他の色々の技を繰り出す事が出来るのである。
 合気道では真剣で巻き藁(まきわら)を一刀両断にする訓練があるそうだが、これも力任せにただ刀を巻き藁に叩きつけても刀は巻き藁にブスっとくい込むだけで決してスパッと真っ二つに切る事は出来ないそうである。
 姿勢を正し、上体の力を抜き、重心を臍(へそ)の下、所謂、臍下丹田(せいかたんでん)に落として刀自体の持つ、重力により自然と降り下ろされる力を利用して切るとスパッと切れるそうである。
 ホームラン世界記録を持つ王貞治の師匠荒川博はこの合気道の達人であり、王にこの真剣の巻き藁切りのトレーニングをさせ、それによりバッティングの神髄を伝授したそうである。

 私の見た感じだとフェデラーはその脱力の奥義をほぼ会得しているようである。ここでも何回も申し上げたが、人間には本来無限の力が宿っており、それをそのまま表現していけば、素晴らしい力が発揮出来るのである。しかし、大抵の人はそんなことは思っていないから是非、自分が力を入れて、力んでやらなくてはならないと頑張るのである。しかし、その為に本来の動きが妨げられ、スポーツで言うと本来の筋肉の動きがその力みによって妨げられ、強く打とうとしているのが却って、テニスだとラケット、そして野球だとバットの振りが鈍くなるのである。
 振りが鈍くなればラケットとかバットのヘッドスピードは遅くなり、ヘッドスピードが遅くなれば、打とうとする対象物、テニスとか野球などの球技ではボールということになるが、それに対して効果的に力を伝えることが出来ず、ボールを遠くに飛ばしたり、早いボールを打つことが出来ないのである。

 だから、達人というのはその人間本来の無限力の力の源泉から出て来るパワーを余計な力みでそれを鈍らせることが無い人の事を言うのである。
 この余計な力みを取る為にとても大事なのが、それは先ず自分には無限の力が宿っているということを信じて、それに任せる事である。そして、姿勢を正し、顎を引き、頭から一本の糸で天から吊られていると思って背筋をピッと伸ばす訓練をすることである。そうすると臍(へそ)の下に重心が落ち着き、そうなると肩の力が抜け、気持ちが落ち着くものである。それが腰が据わるという状態である。
 フェデラーは誰に習ったのか知らないがこの姿勢が見事に出来ている。腰が据わった感じなのである。
 この様に上体の脱力が出来、腰が据わっていれば、所謂、気持ちが「あがる」ということが無くなり、常に冷静で落ち着いた精神状態になり、テニスのプレイに入れば、余計な力が抜けているから自己本来の力とラケットそのものの力そして自然の重力の力を最も効果的に駆使していくことが出来るのである。それが出来ているのがこのロジャー・フェデラーである。
 彼はその達人の域に達したプレーで無敵のテニスプレーヤーとして今や世界中にその名を轟かせているのである。

 堀 浩二
by koujihori | 2005-07-09 18:51 | スポーツ | Trackback | Comments(0)
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