ロンドンのテロ

 ご存知の様にイギリスのロンドンで同時多発テロがあり、多数の犠牲者が出た。監視カメラ等、イギリスの警察の優秀な捜査技術により、事件発生後からわずか一週間でテロ実行犯を確定出来た。
 それによると彼らはパキスタン系のイギリス人四人でいずれも20歳から30歳の若いイスラム教徒だそうである。彼らはいつもは学生とか教師としてイギリス社会に普通のイギリス人として潜伏しており、いざテロ実行という時になるとその本性を現し、この様な恐ろしいテロを実行するというスリーピング・セル(眠っている細胞)と呼ばれるテロリストである。
 しかし、日本人の感覚からするとよく分からないのが彼らがパキスタン系とは言え、イギリスで生まれ、イギリスで育った、イギリス国籍を持つイギリス人であるのにかかわらず、こうした自国民が母国であるイギリスの首都ロンドンで大量虐殺のテロをアル・カイーダの様な国際テロ組織の指示がいくらあったにせよ、どうして起こせるのか、起こしてしまうのかということであろう。
 この様に自分の生まれ育った母国で自国民にテロ行為をするなんて日本人ならおよそ考えられないことである。

 しかし、よくよくイギリスの事情を聞いてみると、イギリスは日本なんかではおよそ考えられない階層社会であり、上流階級、中流階級、下層階級というのが今でも完全に分かれた社会なのだそうである。それは言葉の発音の仕方から違うのだそうで、イギリス人はお互いちょっとしゃべっただけで相手の階層が分かり、相手が自分より下層の相手と分かると途端に差別的な扱いをするそうである。
 それは当然宗教間の差別なんて要素も加われば、エスカレートするだろうし、今回のテロ実行犯の四人はいずれも下層階級として差別され、イスラム教徒としても差別された人達であったそうである。そうした差別の現存する社会ではいくら母国と言えど、その差別から生じたうらみを張らしたいという気持ちもあったであろうし、それがイスラム教的な聖戦(ジハード)の要素が加われば、今回の事も当然の結果と言えなくもないと思う。

 であるから、よくアメリカやイギリスの政治家とそれに同調する日本の保守系論壇の人達が言う「テロとの戦い」、「テロには決して屈しない決意」とか仰るのはまあ一応分かるが、その前にどうしてこういうテロが起こってしまうのかという原因を考える必要があると思う。
 それは白人のトップの階級が主に生じさせている差別であり、また彼ら先進国の現象的、肉体的快楽と便利さを追求した生活レベルを維持する為に如何に発展途上国の人達を安い賃金で酷使しているか、そして地球環境を損なっているかということを内省する必要があるだろう。

 日本はその点、素晴らしいと思う。日本は階層なんてものは人によっては多少あるという人もいるが、イギリスなんかに比べて、全然そんなものは存在しない。意識調査をすれば80%の人が自分は中産階級だと答える国柄である。もちろん私も自分をそう思っている。
 だから、日本人は地域のつきあい、職場のつきあいでもその人の出身地、宗教、生まれとかで差別してつきあうような事はせず、その人がよほどの変わり者で自ら心を閉ざしていない限り、誰でも仲間に入れてやってお互い、仲良くつきあう。それは日本人は昔から天皇を中心として、その元に平等であるという自覚が意識するとせざるに関わらず潜在意識的に何となくあるからであると私は思う。
 そして日本は昔から自然と対立してそれを征服するという考えはなく、自然と融合して、それを出来るだけ生かし、保存するという意識を持ってきた。そして、鎮守の森と呼ばれた森の中の神社に人々は信仰のより所を求めたのである。
 そして日本は元々天皇を中心とした神道的な信仰の地盤があったが中国から仏教が入ってきてもそれを排除する事なく、日本の風土にうまく取り込んだ日本的仏教を作り上げ、神道ともうまく融合というか両立させたのである。
 我々日本人はそうした素晴らしい国に生まれた事をもっと感謝しなくてはならないと思う。そして、こうした階層の差別をしない、宗教同士を対立させない、そして自然を大切にするという我々日本人が古来から持って来た国民性を大事にし、こうした要素が世界の平和と環境保護活動に今こそ求められているという事を自覚して、志ある若者にはどんどん世界で活躍してもらいたいものである。

 堀 浩二

 
by koujihori | 2005-07-18 09:32 | 時事問題 | Trackback | Comments(0)
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