赦すということ(2)

 私はけっこう、かんしゃく持ちである。昔から正義感が強く、人として道を外れた事をしている人がいると相手が誰だろうとどなりつけたりする所がある。

 ところで私が一番嫌いなのが待たされるという事である。私は時間というものはお金より遙かに価値があると思っているので、時間を無駄にすることが大嫌いである。だから、私はどこに行くにも英単語帳とか色々な本を持ち歩いてちょっとの待ち時間でも英単語を覚えたりして時間を無駄にしない様にしている。

 だから納得できない事で人を待たせる様な人が私は赦せなかった。先日も仕事でハローワークに行った時、約1時間も待たされたが、その時のハローワークの事務員の処理が非常に要領の悪いものに感じられて言葉にこそ出さなかったが非常に憤慨した。
 また会社内で必要な書類をいつまでも提出して来ない社員に対しても心で責める様になっていた。
 でも、そんな事だと自分が一番、心に平和がないのである。人を赦せず、憤っているのは自分が一番苦しい。

 私は「他人は他人」といい加減に済ませないたちだからこうであったと思う。しかし、先日、私はある事を反省した。
 それは私が代表を務めている野球チームの事であるが、今度の日曜日にリーグ戦の試合予定が入っていたのでメールでメンバーに連絡した所、その内の一人がメールで連絡して来て、今度の日曜のその時間はソフトボールの練習試合が入っているので野球チームの殆どのメンバーが出場出来ないというのである。
 野球チームのメンバーはそもそもPTAのお父さん達のソフトボール大会のメンバーで結成したのであり、その後はメンバーの多くは野球もやるが毎年、8月に行われるソフトボールの大会に出ていて、現在は私とは違う人がソフトボールのチームとしての活動を運営しているので、私が知らない所で野球のリーグ戦の試合時間と同じ時間にソフトボールの練習試合が組まれていたのであった。
 それを知らない私は野球の試合の連絡をメンバーにしたのであるが、その時間は野球チームのメンバーが殆どソフトボールの方に行ってしまうという事を知らされた私は誰にも相談しないで即、今度の野球の試合を我がチームの不戦敗という事に決定し、メールでチームのメンバーに連絡した。今度の日曜が皆の都合が悪いなら、不戦敗ではなく、延期という事で相手チームとも話し合って新たな時間と場所を決めて再試合するという選択もあったが正直私はそんな事をするのが煩わしかったのである。
 というのは私は野球の他にも生長の家の活動とか色々やっているので、そんな事にかまけていられないと思ったのだった。普段なら、チームとして何か決める時はチームの幹部の意見を十分聞いてから決定するのだが、忙しくてこれ以上手を煩わせたくないと思った私はすぐに不戦敗を決定してしまった。

 しかし、その後、あるメンバーから「不戦敗ではなくて試合の延期という事に出来ないか」とメールで言って来た。
 「オレの忙しさも知らないで勝手な事を言うな」と思った私はすぐにその相手にメールで「現在はグラウンドを取りにくい状況だから、延期して再試合するという事は難しい」と回答した。

 しかし、翌朝よく考えてみるとこれはいつも私が他の人に対して憤慨していた事をそのまま自分もやっているなと気が付いた。
 私は組織の管理者や長たるもの、独断でものごとを決めないで、その幹部達の話、意見をよく聞いて決断しなくてはならないと思っていて、組織の長でありながらそれをしないで独断でどんどん勝手に組織の全体の事を決めてしまう人を常に心で非難していた。
 私は忙しいから煩わされたくないからという理由で自分が普段、非難していることを自分がやっている事に気が付いたのだった。私は野球の代表を引き受けているからにはそれをいい加減に御茶を濁す様な事ではいけないと思った。やるなら徹底してやらなくてはならないと反省した。

 そして、私は普段非難している相手は正に自分の欠点を映してくれる鏡であったという事を実感したのだった。
 その時、私は初めて、今まで心で責めていた人達を赦す気になったのである。赦すという事は相手に怒りたい気持ちを無理に抑え込む事ではなく、相手と自分は別物ではない、一つのものであったという自覚が芽生えたとき初めて本当に赦せる様になると思う。

 自分が非難していた相手は具体的に悪い人ではなかった。自分と一体であり、自分を映してくれる鏡であったと気が付いた時、心の奥底から相手を赦せるのである。

堀 浩二
by koujihori | 2006-07-26 10:01 | 信仰 | Trackback | Comments(0)
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